traümen salmon

昨日と変わらず、明日も変わらない

ブラウン管

サムネ用


中学生の頃、いろいろ理由あって祖父母の家に預けられていた時期がある。自宅のCore2duoを積んだWindows Vista(とても重かった)で既にどっぷりとインターネットに浸かっていた自分にとって、祖父母の家での生活はパソコンに触れれない退屈なものだった。
祖父母の家で用意された自室には、ブラウン管で14インチのテレビデオが置いてあった。そのままレトロゲームとテレビ視聴が趣味になった。

お金に余裕のない学生にとって、ハードオフは宝の山のようなものだった。動作未保証ではあるものの、名作のゲームが「発売から10年程度過ぎたから」という理由だけで500円以下で投げ売りされているからだ。もっぱらスーパーファミコンのゲームを買い漁ってはずっと遊んでいた。FFシリーズとクロノトリガーが特に好きだった。FF4のラストダンジョンの攻略中に祖母が掃除機をかけにきて、案の定コードを引っ掛けて電源が飛び、付け直したらセーブデータが全て消えていたこともあった。以来FF4は未だにクリアしていない。

パソコンの前が定位置になっている今は、眠れない夜はYouTubeで動画を見たり、虚ろな目でタイムラインを延々と眺めているが、当時はまだスマートフォンがないので、それらを見ることは出来なかった。かろうじて「特定のアドレスにメールを送信するとツイートすることができるシステム」で、携帯電話から呟くことだけは出来たのを憶えている。なので、眠れない夜にできることと言えば「テレビをつけてチャンネルを回し、消去法で一番面白かったチャンネルの番組を見る」ことくらいだった。

「深夜のテレビ番組は面白い!」なんてことを言う人がいるが、あれは正しくはない。基本的につまらない番組しかない。というかまず、選択肢がない。深夜も4時を過ぎるとほとんどのチャンネルはカラーバーになっているので、仕方なくテレビショッピングを眺めていたことすらある。腐女子向けアニメはもはや当たりの部類だった。当時はアニメというだけで楽しんで見ることが出来ていた。

当時見ていたアニメの中でとりわけ好きだったのは『侵略!イカ娘』だった。放映時間の2時間前にはテレビをつけて、『お願い!ランキング』とかいう全然面白くないのに笑い声のSEばかりうるさい番組を1時間見て、『乙女妖怪ざくろ』もついでに見て、『侵略!イカ娘』を見終えたら就寝する生活を毎週繰り返していた。睡眠時間を削っているので目の下にくまが出来て、耳鳴りがするようになった。
やがて秋アニメは終わり、年も変わり、地デジ化も近づいていたので、大変お世話になったブラウン管テレビは捨てられることになった。少しだけ広くなった机を見て悲しくなった。

「平成レトロ」ブームの昨今、レトロ文脈で出てくるブラウン管テレビを見かけるたび、俺の過ごした日々がもはや「平成レトロ」であることに、過ぎ去った時間を痛感して如何ともしがたい気持ちになるが、「俺がブラウン管テレビと過ごしたあの時あの瞬間って本物だったな」と思い返すたびに思うので、この頃の思い出は大切にしたい。

 

オチ無し
Windows Vista ネットサーフィン編に続くかもしれません